友清 哲『ルポ“霊能者″に会いにいく 「本物」は存在するのか 』PHP
「著者が自腹で全国の“霊能者”を訪ね、徹底検証した傑作ルポルタージュ」だそうです。いやあ、のっけから怪しさ満載ですね。本物の“霊能者”は見つかったのでしょうか。
本書は霊能者版ミシュランガイドではありません。霊能者の名前とか所在は全てぼかしてあります。ですから霊能者探しをしている方には向きませんのでご注意を。でも読み物としては結構面白かったですよ。
牛島 信『上場廃止』幻冬舎文庫
「あのカルロス・ゴーン事件を予言した衝撃の企業法律小説」だそうです。ただ、著者の牛島さんは東京、広島での地検検事を経て弁護士になられ、現在は「M&A、コーポレートガバナンス、不動産の証券化、情報管理などで定評のある牛島総合法律事務所代表」という方だそうです。法律のプロが書く小説ってのはどんなもんでしょうか。
本書は小説ですので話の本筋はフィクションです。が、話の進行上出てくるエピソードの法律的な意味づけを本職の法律家である牛島さんが解説してくれています。こんなこといちいち弁護士に聞いたらいくら掛かるんだか……。ここら辺を心して読めば、すぐに本代の元は取れるんじゃないですか。でも、普通の小説として読んでも結構面白かったですよ。
ヌリエル・ルービニ 村井章子訳『MEGATHREATS(メガスレット)世界経済を破滅させる10の巨大な脅威』日本経済新聞出版
著者のルービニさんによれば、現代の世界は様々な「広い範囲で大きな損害と苦痛を引き起こし、しかも容易には解決できないような深刻な問題」があるのだそうです。その中から10のリスクについて分析しています。長く続いた平和と繁栄の時代はもう長くは続きませんよ、というわけです。本書が出版されたのは2022年のことです。結構長い時間が経過していますが、特段世界中が緊張するような事件は起きていないような……。本書は20年程度のスパンを見据えた分析のようですが。ま、読んでみましょう。
私も拙論の為替見通し(https://www.fpohkuni.com/Magazine%20Articles.htm)でも指摘してきたとおり、本書でもコロナ渦期の世界的な金融緩和が回収されておらず、バブルとも言うべき状況になっており、バブル崩壊は時間の問題であり、その崩壊の影響は相当深いものが予想されています。私も同じような見通しを数年来持っているのですが、未だに現実化していません。私もルービニさんのような「破滅博士」
本書を読んで、寺田寅彦が言ったといわれる「天災は忘れた頃にやって来る」を思い出しました。現代の科学では天災を予測することはできないし、まして予防することもできない。しかし、天災に対する備えをすることによってその被害を少なくすることはできる、なんて100年以上も前に言ってます。私たちも本書を読んでどんな問題が起きそうなのか、そしてどんな備えが可能なのかを考えておくのは決して無駄ではないでしょう。
「第二次世界大戦が終わってからは、先進国がデフレに見舞われたことはほとんどない」「長期にわたるデフレを経験したのは日本だけだ。日本は1990年から経済が低迷し、「失われた20年」さらには「失われた30年」と呼ばれた」ですって。日本にだけはMEGATHREATSは起きちゃっていたみたいですね。
著者が最も懸念しているのはスタグフレーション。「責任ある積極財政」を掲げる政権が日本でも発足いたしました。さてどうなりますか。
「過去から学べない者は過ちを繰り返す」皆様もご一読を。
宮田 珠巳『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』大福書林
「マルコ・ポーロが『東方見聞録』を発表したのと同じ頃、行ってもいない東方世界の旅行記を著した稀代のペテン師ジョン・マンデヴィル。世に出るのを厭い、苔と羊歯の庭いじりを唯一の喜びとしていた息子アーサーは、ある日教皇から呼び出され、亡き父の書に記されたプレスター・ジョンの王国を探すよう命じられる」なんて紹介文が本書の帯に書かれていますが、はっきり言って何言ってるのかわからない。本書は全てフィクションな訳ですが、そのフィクションが何重にも重なって物語を形成していきます。ここからは宮田珠巳ワールド全開。